橋本病/バセドウ病(甲状腺疾患)
二つの病気は甲状腺の異常に関わる病気です。不足するか、過剰となるか、丁度逆の病態となります。
橋本病は、免疫機能の異常によって慢性的に甲状腺が炎症を起こす病態で、甲状腺ホルモンが不足します。
バセドウ病は、逆に主にTRAbと呼ばれる自己抗体が原因となり甲状腺ホルモンの産生と分泌が亢進され、過剰となります。
橋本病について
橋本病は、甲状腺に慢性的な炎症が起こり、
甲状腺は、のどぼとけのすぐ下にあり、蝶が羽を広げたような形をした臓器です。体の代謝や成長を調節する甲状腺ホルモンを分泌して、新陳代謝や体温維持、心拍数、血圧などをコントロールする働きがあります。橋本病が進行すると、甲状腺の機能が低下し、甲状腺ホルモンが不足した状態になり、
橋本病の主な症状
橋本病は、発症初期には自覚症状が少ないこともあります。
- 疲れやすい・だるい
- 体重が増えやすくなる
- 寒がりになる
- 皮膚が乾燥する
- むくみが出る
- 便秘しやすくなる
- 月経異常(女性)
- 気力が出ない・うつ傾向
これらは甲状腺ホルモンが少なくなることによる代謝低下が背景に
「なんとなく調子が悪い」と感じて受診し、
橋本病の診断方法
橋本病の診断は以下を組み合わせて行います。
血液検査
- TSH:高値になりやすい
- FT4(遊離サイロキシン):低値になりやすい
- 抗TPO抗体、抗サイログロブリン抗体:陽性であることが多い
→ 自己抗体の存在と甲状腺ホルモン値の低下を確認します。
→ 超音波検査を行うこともあります。
橋本病の治療方法
現時点では残念ながら橋本病の根本的な治療法はありませんが、甲
① 甲状腺ホルモン補充療法
- レボチロキシン(チラーヂンSなど)を少量から開始
- 血液検査でTSH・FT4を見ながら、量を調整します
- 適切な量を続けることで、日常生活を問題なく送ることができます
② 定期的なフォロー
- 病状はゆっくり変化するため、3〜6ヶ月ごとの血液検査が推奨さ
れます - 体調の変化や妊娠を希望する場合は、より細やかな調整が必要です
無症候性橋本病について
血液検査の結果、抗サイログロブリン抗体のみが高値で、TSHやFT4は正常、かつ症状も出ていない場合があります。これは「無症候性橋本病」と呼ばれ、当院でもよくご相談をいただきます。統計的に、ご家族に橋本病や何らかの甲状腺疾患をお持ちの方が多い傾向があります。
無症候性橋本病の方は、現時点ではホルモン値が正常であるため、薬の処方等の積極的な治療の必要はありません。しかし、将来的に橋本病に進行するリスクが高いため、3~6か月ごとに血液検査を行い、定期的に経過を観察することが望ましいとされています。
バセドウ病の主な症状
全身症状
- 体重減少(食欲はあるのに痩せる)
- 動悸・頻脈
- 発汗過多・熱感
- 倦怠感・疲れやすさ
- 手の震え(振戦)
- 筋力低下(特に大腿や上腕)
- 脱毛・髪の毛の薄毛
眼症状(バセドウ眼症)
- 眼球突出(眼の突出、プロトーシス)
- まぶたの腫れや腫脹
- 眼の乾燥・異物感
- 複視(物が二重に見える)
- 目の周りの赤み・腫れ
精神・神経症状
- 不安・イライラ
- 睡眠障害(不眠)
- 集中力低下
橋本病の診断方法
診断方法は、橋本病と同様に血液検査、甲状腺エコー検査、および身体所見の組み合わせて行います。
バセドウ病の治療方法
- 薬物療法(抗甲状腺薬): 甲状腺ホルモンの合成と分泌を抑える薬を定期的に服用します。体への負担が比較的少なく、手術や放射線を避けられる利点がありますが、治療には数年かかることがあり、まれに白血球減少や肝障害など副作用が出ることと、再発の可能性もあります。
- 放射性ヨウ素内用療法: 放射性ヨウ素を含むカプセルを服用し、甲状腺細胞を破壊してホルモン分泌を抑えます。再発が少ない一方、治療後に甲状腺機能低下症になる場合があり、その場合はホルモン補充薬が必要になります。妊娠中は適用できません。
- 手術: 甲状腺の一部または全部を切除します。最も早く確実に効果が得られますが、入院が必要で、手術のリスク(出血、声帯麻痺、副甲状腺障害など)があることと、再発を防ぐためにはホルモン補充薬が必要になる場合があります。
当院での治療について
両国横綱クリニックでは、診察の結果、甲状腺機能の異常が疑われる患者様には血液検査を行い、正確な診断を行います。患者様の生活に合わせたホルモン量を丁寧に調整し、長期的な症状の緩和と生活の質(QOL)の向上を目指してまいります。バセドウ病の治療で手術を選択するケースはまれ(5%程度)ですが、必要な場合は適切な専門医療機関をご紹介します。
