脂漏性皮膚炎
冬など気温が下がり乾燥する時期に、「フケが急に増えた」「鼻の横が赤くなる」「眉毛の周りが皮むけする」といった症状で受診される方が増えます。その原因として多いのが 脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん) です。繰り返しやすい炎症性皮膚疾患ですが、適切な治療を行うことで症状はコントロールできます。
脂漏性皮膚炎とはどんな病気?
脂漏性皮膚炎は、皮脂の多い部位に起こる皮膚炎です。
特に出やすい部位は:
・頭皮
・生え際
・眉毛
・鼻の横
・耳の後ろ
・胸の中央
・陰部の皮膚トラブルとして起きることもあります(*)。
これらの部位に
✔ 赤み
✔ 皮むけ
✔ ベタつくフケ
✔ かゆみ
が生じます。
「乾燥しているのに皮脂が多い?」と不思議に思うかもしれませんが、冬は皮膚のバリア機能が低下し、皮脂バランスが乱れやすくなるため、脂漏性皮膚炎が悪化しやすい季節なのです。
(*)陰部の場合は、カンジダとの区別が重要となります。カンジダは常在菌である真菌の異常繁殖が原因であり、抗真菌薬が第一選択となりますが、脂漏性皮膚炎は、皮脂と常在菌のバランスが崩れて起こる炎症であり、抗炎症+保湿が第一選択となります。
原因は“体質 × 常在菌 × 環境”
脂漏性皮膚炎は単一の原因ではなく、
・皮脂分泌の体質
・皮膚常在菌(マラセチア菌)の増殖
・ストレス
・睡眠不足
・乾燥環境
が重なって発症します。完全に防ぐことは難しいですが、医学的にコントロール可能な病気です。
放置するとどうなる?
命に関わる病気ではありませんが、放置すると
・かゆみの悪化
・掻き壊し
・色素沈着
・慢性化
につながります。自己流ケアで長引く方が多いのが特徴で、市販のシャンプーや保湿だけでは改善しないケースも少なくありません。
当院で行う治療
脂漏性皮膚炎の治療は、炎症のコントロール + 真菌の抑制 + 皮膚バリアの回復が基本となります。
・ステロイド外用薬(例:ロコイド®、リンデロン®)
・抗真菌外用薬(例:ニゾラール®、ルリコン®)
・高保湿外用剤(ヘパリン類似物質製剤など)
を患者さんの体質や症状に応じて組み合わせます。
保湿は単なるケアではなく、皮膚のバリア機能を回復させる治療の一部です。適切な治療を行えば、数週間で症状が落ち着くことがほとんどです。脂漏性皮膚炎は「治らない病気」ではなく、付き合い方が分かれば怖くない病気です。
日常生活でできる予防
✔ 洗いすぎない
✔ 強くこすらない
✔ 熱いお湯を避ける
✔ 保湿を継続する
✔ 十分な睡眠
これらは再発予防に重要です。
受診をおすすめするサイン
・フケが止まらない
・市販薬で改善しない
・赤みが広がっている
・かゆみで眠れない
・何度も繰り返している
これらは治療対象です。
当院からのメッセージ
脂漏性皮膚炎は見た目の問題だけでなく、日常生活のストレスにもつながります。当院では症状の程度や生活習慣を丁寧に確認し、患者さん一人ひとりに合わせた現実的で続けられる治療をご提案します。「よくある皮膚トラブルだから」と我慢せず、気軽にご相談ください。早めの治療が、最も楽な近道です。
