⭐糖尿病治療の新しい選択肢|週1回投与の基礎インスリン「アウィクリ注」について|両国駅徒歩0分の総合診療科が解説
「糖尿病の飲み薬を続けているけれど、HbA1cがなかなか下がらない」
「毎日のインスリン注射が負担に感じる」
「忙しくて注射のタイミングを忘れてしまうことがある」
糖尿病治療では、患者様の血糖コントロールだけでなく、治療を無理なく続けられることも大切です。当院でもこのようなご相談をいただくことが少なくありません。
アウィクリ注は、週1回投与の持効型インスリン製剤です。従来の基礎インスリン製剤は毎日投与が基本でしたが、アウィクリ注は1週間に1回の皮下注射で使用する薬剤として、日本でも使用できるようになりました。
ただし、インスリン製剤である以上、低血糖への注意、投与量の調整、血糖モニタリング、現在の治療内容との兼ね合いを慎重に確認する必要があります。
本記事では、アウィクリ注の特徴、期待されるメリット、注意点、総合診療科専門医の視点から分かりやすく解説します。
アウィクリ注とは?
アウィクリ注は、2024年に承認され、2025年から国内で使用可能となった、週1回投与の持効型溶解インスリン製剤です。一般名はインスリン イコデクです。
従来の基礎インスリン製剤(トレシーバやランタスなど)は、基本的に毎日1回の注射が必要でした。これに対しアウィクリ注は、体内でインスリンが徐々に放出される技術(アルブミン結合技術)を用いることで、投与回数を従来の7分の1(年間365回→52回)に減らすことを可能にしました。
アウィクリ注の特徴とメリット
1. 注射の負担が軽減される
最大のメリットは、週1回の投与(あらかじめ決めた曜日に注射)となることから、日々の生活における「注射の負担」が減ることです。毎日の注射の手間や痛みが軽減され、旅行や出張、外出の際にもインスリンを持ち歩く負担が減ります。従来の毎日投与の基礎インスリンと比較して、血糖コントロールに関する有効性も示されております。
2. 打ち忘れのリスクを減らせる
毎日注射を打つ必要がある場合、「うっかり打ち忘れてしまった」というリスクがつきまといます。週1回、決まった曜日(例:毎週日曜日の朝など)に設定することで、管理がシンプルになり、投与忘れを防ぎやすくなります。
3. 周囲の目を気にせず治療を続けられる
職場や学校、外出先で「毎日注射をしなければならない」という精神的なストレスを感じている方にとって、週1回の治療への変更はプライベートや生活の質(QOL)の向上に貢献します。専用のペン型デバイスで投与する薬剤です。使用方法については、診察時に丁寧にご説明します。
アウィクリ注の注意点
便利な点がある一方で、アウィクリ注には注意すべき点もあります。
低血糖への注意
アウィクリ注は1週間効果が続く薬剤です。そのため、低血糖が起きた場合の対応について、あらかじめ確認しておくことが大切です。
冷や汗、動悸、手のふるえ、強い空腹感、ふらつき、意識がぼんやりするなどの症状がある場合には、低血糖の可能性があります。補食の取り方や症状が強い場合の対応について、事前に理解しておく必要があります。
また、利点の裏返しとなりますが、週1回製剤であるため、毎日投与のインスリンや週1回投与の他の糖尿病注射薬と混同しないことも重要となります。誤って連日投与した例、他の週1回糖尿病注射薬と混同した例などが報告されています。投与曜日、投与量、ペン型デバイスの単位設定について、診察時に十分確認し、正しく使用することが大切です。
投与量の調整が必要です
毎日投与の基礎インスリンからアウィクリ注へ切り替える場合には、現在のインスリン量、HbA1c、空腹時血糖、低血糖の有無、食事や運動の状況などを確認したうえで、投与量を調整します。自己判断で切り替えたり、投与量を変更したりすることは避けてください。医師の適切な指導のもとで行う必要があります。
血糖モニタリングが重要になる場合があります
アウィクリ注の導入時や切り替え時には、血糖の変動を確認しながら慎重に経過を見る必要があります。特に、低血糖のリスクがある方、血糖変動が大きい方、インスリン量の調整が必要な方では、自己血糖測定や専門医療機関での管理が必要となる場合があります。
基本的に2型糖尿病患者が対象となります
当院では、主に2型糖尿病の方を対象に、現在の血糖コントロール状態や低血糖リスク、生活背景などを確認したうえで、アウィクリ注の適応を慎重に判断します。1型糖尿病の方、妊娠中または妊娠の可能性がある方、厳密なインスリン調整が必要な方、低血糖リスクが高い方では、糖尿病専門医療機関での管理が望ましい場合があります。
ONWARDS臨床試験で検討された有効性と安全性
アウィクリ注の効果と安全性は、世界各国で実施された第Ⅲ相臨床試験プログラム「ONWARDS試験」で検証されています。
(The New England Journal of MedicineやJAMAなどの主要医学誌に論文掲載)
1. 血糖改善効果
初めてインスリンを使用する2型糖尿病患者様を対象としたONWARDS 1試験やONWARDS 3試験などの論文報告では、アウィクリ注は従来の毎日打つ基礎インスリン(グラルギンやデグルデク)と比較し、HbA1c(過去1〜2ヶ月の平均血糖値)の改善において有効性を示したこと、ガイドラインが推奨する「HbA1c 7.0%未満」を達成した患者割合も、アウィクリ注群で良好な結果であったことが報告されています。
2. 適切な血糖コントロール範囲(TIR)の延長
血糖値が目標範囲内にある時間の割合(Time in Range:TIR)についても、毎日投与の基礎インスリンと比較して評価され、有効性を示す結果が報告されています。
一方で、インスリン製剤である以上、低血糖への注意は必要です。臨床試験においても低血糖の発現が検討されており、実際の診療では、患者様ごとの血糖状態、低血糖リスク、生活背景を踏まえて慎重に判断することが大切です。アウィクリ注は「注射回数を減らせる薬」ですが、「管理が不要になる薬」ではありません。導入や切り替えにあたっては、医師の診察のもとで適応を確認し、必要なフォローアップを行います。1週間作用が続く薬剤であるため、投与量の管理や低血糖時の初期対応について、事前に確認しておくことが大切です。
当院での糖尿病診療について
両国横綱クリニックでは、総合診療科専門医として、血糖値だけでなく、患者様の生活背景、体重、血圧、脂質、腎機能、内服薬、食事、運動習慣なども含めて糖尿病診療を行っています。
糖尿病は、長期間にわたり付き合っていく疾患です。治療と健康の維持を最優先としつつ、身体的・経済的な負担も考慮します。血糖コントロールを整えることに加え、治療を無理なく続けられることも大切です。
当院では、食事・運動療法のサポート、内服薬の調整、従来の基礎インスリン製剤、アウィクリ注などについて、患者様の状態に応じて治療方針を検討します。アウィクリ注への切り替えや導入については、現在の血糖コントロール状態、合併症の有無、低血糖のリスク、通院状況、生活リズムなどを診察したうえで判断いたします。
一方で、1型糖尿病や重度の2型糖尿病の方、低血糖のリスクが高い方、血糖変動を詳しく確認する必要がある方は、患者様の安全を最優先に考え、糖尿病専門医療機関や高次医療機関と連携し、また必要に応じてご紹介させていただきます。
血糖測定器のお取り扱いについて
当院では現在、フリースタイルリブレなどの持続血糖測定器(CGM)や自己血糖測定器(SMBG)の貸出・販売は行っておりません。ただし、インスリン治療の導入・切り替え・調整において血糖測定が必要と判断される場合には、専門医療機関との連携や紹介を含めて対応いたします。
軽症から中等度の2型糖尿病で、内服治療を中心に外来で安定して管理できている方では、毎日の自己血糖測定が必ずしも必要とは限りません。当院では、患者様の身体的・経済的なご負担も考慮し、血液検査によるHbA1cなどを確認しながら、丁寧にフォローアップし、無理なく継続できる糖尿病治療を大切にしています。
このような方はご相談ください
・糖尿病の飲み薬を続けているが、HbA1cが下がりにくい
・インスリン治療を始めるべきか迷っている
・毎日のインスリン注射に負担を感じている
・現在のインスリン治療を見直したい
・休日に糖尿病の相談や定期受診をしたい
・高血圧、脂質異常症、痛風などもまとめて相談したい
・注射部位の皮膚トラブルや乾燥肌も相談したい
当院では、糖尿病だけでなく、高血圧、脂質異常症、高尿酸血症、痛風などの生活習慣病も含めて、総合的に診療いたします。
また、インスリン注射部位の皮膚トラブル、乾燥肌、花粉症やアレルギー症状など、糖尿病以外のお身体の不調もあわせてご相談いただけます。
両国横綱クリニック|総合診療科専門医による診療
何科に行けばよいか分からない症状や、なんとなく不調が続く時も、お気軽にお越しください。
疲れ・皮膚症状・体調不良など、複数の症状をまとめてご相談いただけます。
仕事帰りや休日にも受診しやすい環境を整えています。
院長 加納永将
総合診療科専門医(日本専門医機構認定)
