◆ ウイルス性胃腸炎について
秋口から増えるウイルス性胃腸炎(ノロウイルスなど)について
厳しい残暑が続いておりますが、9月に入ると気温は下がり始める様です。夏の疲れが残る体に急な環境変化が加わるため、免疫力が落ちて感染症や持病の悪化が出やすい時期と言えます。特に夏の終わりから秋口にかけては、昼夜の寒暖差が大きく、体調を崩す患者さんが少しずつ増えてきます。
「朝は元気に出勤したのに、昼から急に吐き気が出て、何度もトイレに駆け込んでいる」という方や、「子どもが夜中に急に嘔吐してしまった」と受診されるご家族もおられます。こうしたケースの多くがウイルス性胃腸炎です。典型的な症状は、突然の吐き気・嘔吐、下痢、腹痛、軽度の発熱です。有名なのはノロウイルスで、冬に流行しますが、夏の終わりから秋口にかけて少しずつ患者数が増加し始めるのが特徴です。ノロウイルスは非常に感染力が強く、わずかなウイルス量でも症状が出てしまうため、家庭や職場など身近な環境で一気に広がることがあります。
治療について
最も重要な事は脱水症状を防ぐことです。下痢等で身体から大量の水分や電解質が失われてしまう事で、高齢者や小児は短時間で脱水が進み、重症化する危険があります。当院では、経口保水液(OS-1等、市販のもので構いません)を少量づつ、回数を増やして飲むことをお勧めします。吐き気が強い時はスプーン一杯ずつ口から入れることを試して戴くと良いと思います。
内服薬は症状を和らげ、回復を早めるために処方します。残念ながらノロウイルスやロタウイルスが原因となる胃腸炎に直接効果がある内服薬は現時点ではありません。
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整腸剤:腸内環境を整える
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制吐剤:強い吐き気を止める(水分補給が困難なとき)
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解熱剤:高熱が続く場合
水分補給を続け、適宜、内服薬を飲むことで症状は数日で治まって行きます。ただし、水分がどうしても取れない、尿がほとんど出ていないといった場合は、点滴治療が必要な可能性がありますので、早めに受診してください。
ここまで読んで戴き有難うございます。
(両国横綱クリニック院長:総合診療専門医が院長の墨田区両国の内科、皮膚科、アレルギー科)
