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帯状疱疹ワクチンをお勧めします

[2025.05.21]

日本人成人の9割以上が帯状疱疹を発症する可能性があると言われています。身近な病気です。子供の頃に水疱瘡(みずぼうそう)に感染する方が多いと思いますが、帯状疱疹の原因は同じ「水痘・帯状疱疹ウイルス」が原因となります。水疱瘡が治っても実は、このウイルスは体の中心部の神経に潜んでいます。体が元気な若い時代には症状は現れないのですが、加齢や疲労、ストレス等が理由で免役機能が低下すると、ウイルスは活動を始め、帯状疱疹という病気で発症します。従い、50歳代からの発症率が多くなります。統計によると、80歳までに約3人に1人が帯状疱疹を発症するといわれています。(Shiraki K., Toyama N.et al.: Open Forum Infect Dis.4(1), ofx007, 2017及び宮崎皮膚科医会)

症状

かゆみや皮膚の違和感から始まり、それが軽い痛みやしびれに変わります。ピリピリとした感じ方という方が多いです。

その後、早い方で数日、遅くとも1週間位で皮膚の表面に発疹が出てきます。体の片側に出てくるのが帯状疱疹の特徴で、その名の通り帯のように体の神経に沿って広がってきます。発疹の形は、赤い斑点や小さな盛り上がりで始まり、水ぶくれになっていきます。この時期には痛みは「焼けるような」「刺すような」と痛みになる事もあります。頭痛や発熱、倦怠感などの全身症状を生じる場合もあります。

免疫力の違いで症状は個人差があります。無疱疹性の帯状疱疹というタイプもあり、この場合は神経痛のみが現れます。

早期治療の重要性

帯状疱疹は早期治療がとても大事です。早期とは5日以内です。是非この事は覚えておいていただければと思います。

私事で恐縮ですが、父が帯状疱疹の可能性がある症状を私に伝えてきた事がありますが、予定の国内出張をキャンセルして、直ぐに皮膚科で治療を開始するようにアドバイスした事もあります。もし治療が遅れた場合は、後遺症や合併症を引き起こす可能性があります。主なものでは、

帯状疱疹後神経痛 (PHN): 長期間続く神経痛。数年のケースもあります。刺すような痛みや灼熱感、しびれが続きます。

目の合併症: 角膜炎、結膜炎、ぶどう膜炎など。重症化すると失明することもあります。

難聴: 耳の神経が傷つくことで難聴になることがあります。

運動系障害:腕の麻痺や排尿困難など起きることがあります。

50歳以上の方で、或いはそれよりお若い方でも、帯状疱疹の疑いがある症状が現れた時は、当クリニックに来て戴ければしっかり診療させて戴きますし、もしお近くに皮膚科が有れば、待つことなく早期に受診してください。皮疹が出てから3日以内(遅くとも5日以内)に抗ウイルス薬による治療を開始出来れば、重症化を抑えることができます。皮疹出現後、1週間以上経過した場合は、抗ウイルス薬の治療効果は大きく下がり、痛みや傷への対処が主たる治療となります。

予防

3人に1人が罹る病気であること、そして決して軽い病気ではないことから、積極的なワクチン接種をお勧めします。ワクチンを接種しておくことで、帯状疱疹の発症予防のみならず、発症した場合でも軽症で済み、帯状疱疹後神経痛のリスクを大幅に軽減できます。接種タイミングは50歳到達が一つの目安となります。是非ご相談下さい。

ここまで読んで戴き有難うございます。

(両国横綱クリニック院長:総合診療専門医が院長の墨田区両国の内科、皮膚科、アレルギー科)

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