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新型コロナ感染症 ー いつもと違う風邪の症状と思ったら

[2025.06.12]

厚生労働省によると、令和7年5月26日から令和7年6月1日までの新型コロナウイルス感染症の発生状況を3227名で、東京都は351人でした。5類に分類されるようになってから、企業や団体での感染把握が緩和されたこともあり、実際の感染者数とはかなり異なる数字だと思います。医療現場の実感からすると、患者数はこの何倍もおられると思います。新型コロナ≒風邪の一種、という認識が社会で受け入れられたということなのかもしれません。

今週の日曜日、水曜日にも一人ずつ、新型コロナ患者が来院され、夫々の方の体調や感染の経緯に応じた診療を行いました。お二人とも快癒に向かっています。今日は新型コロナの現状と当院での治療についてお伝えしたいと思います。

今のコロナ株

中国武漢市で最初の新型コロナウイルスが発見されてから、これまで様々な変異株が確認されてきました。日本では、初めに中国武漢市で発見された従来株が広がり、続いてアルファ株、そしてデルタ株が流行しました。デルタ株は中高年層にも肺炎や血栓症を起こし、重症患者の急増による医療体制のひっ迫が課題となりました。振り返りますとこの時期までが、マスコミでも大きく取り上げられ、日本としても国を挙げて対応していた時期だったと思います。2022年初頭以降はオミクロン株が主流となっていますが、その大きな特徴は感染力の強さであるとされています。その一方で弱毒化も進み、重症化する患者数は大きく減少しました。現在もオミクロン株のJN.1系統が流行しています(2025年上期時点)。

感染力の進化

最近主流となっている変異株のオミクロン株は、免疫から逃れる性質が強くなっているといわれています。つまり一度感染したことがある方や、ワクチンを接種した方も再感染する可能性があります。

以下は厚生労働省資料/pfizer資料を参考に表にしました。当てはまる項目がある方は、重症化リスクの高い方ですので引き続き警戒が必要です。

年齢

  • 65歳以上

体型

  • 肥満がある(BMIが30以上)

生活習慣

  • タバコを吸う(現在および過去)
  • 運動不足

基礎疾患(持病)

以下のような持病や既往歴がある

  • 高血圧
  • 糖尿病
  • がん
  • 慢性の肺の病気(COPDなど)
  • 慢性の腎臓の病気
  • 心臓の血管の病気(心筋こうそく、狭心症など)
  • 脳の血管の病気(脳こうそく、脳出血など)
  • HIV感染症
  • 臓器移植による免疫不全
    など

  • ステロイド等の免疫を抑える薬を使っている

妊娠

  • 妊婦(妊娠後半期)

なお、新型コロナウイルスの「重症化」リスクとは、呼吸器系への影響の事を言っております。つまり上表に該当する方は、新型コロナは呼吸器系に重大な疾患が現れる可能性が該当しない方と比較し相対的に高い事を示しております。

当クリニックの治療について

新型コロナウイルス感染症の対応において、こうした重症化リスクの有無に加え、飲み合わせ、既往症、株の種類等によって適切な対処法が大きく異なります。コロナの出現以降、多くの抗ウイルス薬も開発され、治療の選択肢が増えてきています。主に処方の検討される薬だけでも以下のものがあります。

・ゾコーバ(エンシトレルビル フマル酸)

・ラゲブリオ(モルヌピラビル)

・バキロビッド(ニルマトレルビル・リトナビル

・中和抗体薬(ソトロビマブ・カシリビマブ/イムデビマブ)

・レムデシビル

早期の診察と投薬開始が極めて大事です。私が処方の第一選択と考えているゾコーバは発症後72時間以内に飲み始めないと効果が無いと考えられていますし、他の薬も5~7日以内の開始が必要とされています。これら抗ウイルス薬は体内でのウイルスの増殖を抑える効果がありますが、早く治療を始めないと効果を発揮できないからです。抗ウイルス薬はどれも高価でインフルエンザの薬(通常数千円)の数倍にもなりますので、効果とのバランスも考える必要があります。当クリニックでは多くの新型コロナ感染症患者を診てきた経験を活かし、呼吸器系だけでなくその他の症状を含めて、患者さんの状況に合った治療法を提案させていただきます。

いつもと違う症状の風邪と感じたら

他のクリニックでの情報も参考にさせてもらいましたが、以下の症状が最近のコロナの症状となっています。多い順番に並べます。

①のどの痛み : 7割の方。急なのどの痛みの発生等はコロナの兆候と言えます。

②咳や痰 : 7割の方 

③発熱 : 7割の方。38~39度の高熱になるケースが多いです。

④鼻水 : 5割の方

⑤関節痛・頭痛 : 3割の方

⑥息苦しさ、倦怠感、消化器症状 : 1割の方

呼吸器系に症状が出る病気です。上記を参考に、いつもと違うと感じられた方は早めに受診されることをお勧めします。

ここまで読んで戴き有難うございます。

(両国横綱クリニック院長:総合診療専門医が院長の墨田区両国の内科、皮膚科、アレルギー科)

 

 

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