メニュー

熱中症:予防と早期対応の大切さ

[2025.05.16]

暖かくなってきました。今年の梅雨入りは関東で6月7日だそうです。本格的な夏の到来はその後ですが、実は熱中症の症状を訴える方は既に出始めています。体が気温の上昇に慣れてくるプロセスを熱順化と呼びますが、それが上手く行かない方が少なからずおられます。そして熱中症というとご高齢の方や屋外で働く方がなりやすいというイメージがあるかもしれませんが、最近では若い方でも発症するケースも目立っています。特に、スポーツやレジャーに夢中になって水分補給を忘れてしまったり、節電のためにエアコンの使用を控えていたりと、ちょっとした油断がきっかけで症状が出ることがあります。

医学的に見ると、熱中症は「体温調節機能の破綻」と「脱水」によって起こります。人間の体は、発汗や皮膚血管の拡張を通じて体温を一定に保つ仕組みを持っていますが、外気温や湿度が高すぎたり、水分・塩分の補給が不十分だったりすると、この調節機能が働かなくなり、体に熱がこもってしまいます。その結果、脳や臓器の働きに支障をきたし、意識障害や多臓器不全などの重篤な状態に陥ることもあるのです。

気を付けて戴きたい初期症状は、「なんとなくだるい」「頭が重い」「軽い吐き気がある」といった漠然とした不調です。この時点での見極めと対応が大事になります。無理に我慢してしまうと、急激に悪化することがあります。このくらいなら大丈夫と思わず、また焦らずに早めの処置をお取りください。それは、

① 涼しい場所へ移動させる

直射日光の当たらない、風通しの良い場所や、エアコンの効いた室内へ移動させます。屋内が難しければ、木陰や車の陰などでも構いません。

② 服をゆるめて体を冷やす

衣服をゆるめて熱を逃がしやすくし、首・脇の下・足の付け根など、大きな血管がある場所を中心に氷や冷たいタオル、保冷剤などで冷やします。うちわや扇子で風を当てるのも効果的です。

③ 水分と塩分を補給する

意識がはっきりしている場合は、冷たい水やスポーツドリンク、経口補水液を少しずつゆっくり飲ませます。嘔吐や意識がぼんやりしている場合は、無理に飲ませず、すぐに救急車を呼びます。

となります。そして医療機関を受診すること、或いは意識が混濁しているといった症状が出ていたら、救急車を呼ぶことです。

予防は、十分に睡眠を取り、3食をしっかり食べて体調管理をすることが基本となります。外に出るときはこまめな水分補給にも心がけましょう。

当院では、熱中症の初期症状に対する診察や点滴治療を随時受け付けています。「軽い症状で行ってもいいのかな」と遠慮する必要はありません。不調を感じたら、早めにご相談ください。夏を元気に乗りきるためにお手伝いさせていただきます。

ここまで読んで戴き有難うございます。

(両国横綱クリニック院長:総合診療専門医が院長の墨田区両国の内科、皮膚科、アレルギー科)

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME