皮膚科とステロイド:正しく使えば効果大です
皮膚科にとってステロイド剤は治療において有用な薬です。ステロイドは怖い薬と考えておられる患者さんがおられますが、正しく理解し適切に使用すれば問題はありません。一方、確かにやや使い過ぎてしまう傾向もあるように思います。私のところにセカンドオピニオンを求めて来られた際、実際そのように感じた事例もありました。私のステロイドの治療方針は「的確にそして狙いを定めて効果的に」です。
先ずステロイドについて是非お伝えしたいことがあります。実は我々は毎日一定量のステロイドホルモンを副腎皮質という臓器で作っているのです。このホルモンは炎症反応抑制効果と免疫バランスを保つ効果を持ちます。このホルモンを人工的に作ったのがステロイド薬です。注射薬、内服薬、塗り薬、吸入薬、点鼻薬、点眼薬など沢山の種類がありますが、基本的に体内で生成されるステロイドホルモンと同じの働きを持ちます。つまり抗炎症作用と免疫抑制作用です。
体が持つ生産力(ステロイドホルモン)と外からの手助け(ステロイド薬)。要するにこのバランスが大事なのですね。
具体的に言いますと、人工のステロイド軟膏などを必要以上長期間使い過ぎると本来体が備えている緊急対応の必要が無くなり、副腎が働きが悪くなる可能性があります。体がステロイド分泌を忘れてしまうのですね。逆に、ステロイド薬の継続適用が望ましい方もおられます。慢性の喘息の方などはステロイドの吸引は必要となります。
更に、ステロイド薬は図にも示しましたが、効能が強いものから弱いものまで多くのバリエーションがあります。患者さん一人ひとりの状況を全体的に判断し、バランスを見ながら、より短期間で治療を行う、つまり的確に狙いを定めた効果的な治療のために皮膚科として私はステロイド薬を処方するように心がけています。気になる方は、是非ご相談下さい。
ここまで読んで戴き有難うございます。
(両国横綱クリニック院長:総合診療専門医が院長の墨田区両国の内科、皮膚科、アレルギー科)
