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葛根湯(かっこんとう)について 〜風邪のひき始めに効く漢方薬〜

[2025.06.10]

夏風邪は長引くことがあります。ひき始めにしっかり治療することを心掛けましょう。今日は風邪のひき始めにとても効果がある「葛根湯(かっこんとう)」についてご紹介します。医療用として処方される葛根湯は、症状や体質に応じて医師が判断して用いる薬です。

葛根湯は、7つの生薬(葛根、麻黄、大棗、桂枝、芍薬、生姜、甘草)から構成される漢方薬です。その主な作用は「発汗を促して寒気を取り除く」こと。具体的には、風邪の初期症状である「ゾクゾクする寒気」「肩や首のこり」「軽い発熱」「鼻水」「頭痛」などに対して効果があるとされています。

なかでも注目すべき生薬は「葛根(かっこん)」です。これは葛(くず)の根から作られたもので、血行を促進し、筋肉のこわばりを緩める作用があります。肩こりが強い風邪の初期や、筋肉の緊張を伴う頭痛などによく合います。また「麻黄(まおう)」には発汗を促す作用、「桂枝(けいし)」には血行改善作用があり、これらの組み合わせによって体の表面にこもった冷えを発散させるのが葛根湯の基本的な仕組みです。

ただし、葛根湯は「誰にでも使える薬」ではありません。体力が極端に落ちている方、高熱が出ている段階の方、汗をすでにたくさんかいている方には向きません。麻黄には交感神経を刺激する作用があるため、高血圧や心臓病のある方には注意が必要です。

当クリニックでは、風邪の初期症状で来院された方に対して、必要に応じて漢方薬も併用した治療を行っています。体質や病状を見極めた上で、葛根湯が適しているかどうかを判断し、西洋薬とのバランスも考慮して処方いたします。

風邪の治療は「タイミング」と「体質の見極め」がとても重要です。市販薬でなかなか改善しない場合は、ぜひお気軽にご相談ください。漢方薬を上手に使うことで、つらい風邪の症状を早く楽にすることができます。

ここまで読んで戴き有難うございます。

(両国横綱クリニック院長:総合診療専門医が院長の墨田区両国の内科、皮膚科、アレルギー科)

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