秋の胃腸炎(感染性胃腸炎)
秋の胃腸炎としては、感染型に注意が必要となります。代表的な例としてノロウイルスやロタウイルスによる「ウイルス性胃腸炎」が増える時期となります。気温が下がり、乾燥することでウイルスが安定して生存しやすくなることから感染が増加します。
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ノロウイルス
幅広い年齢層に感染しやすく、わずかなウイルス量でも感染が成立するほど感染力が強いウイルスです。主症状は嘔吐と下痢で、潜伏期間は24〜48時間と短く、急速に症状が現れます。家庭内や学校、施設での集団感染が多く報告されています。 -
ロタウイルス
主に乳幼児や小児に重症化リスクが高く、急性下痢、発熱、嘔吐を引き起こします。成人も感染することはありますが症状は軽度です。ワクチン接種により発症や重症化を大幅に予防できます。
「ウイルス性胃腸炎」以外には、「細菌性の腸炎」があり、細菌が体内に入って発症するタイプと細菌自体が毒素を持つ毒素型に分かれます。前者は、生卵、鶏肉、豚肉についたサルモネラ菌、生の魚介類の腸炎ビブリオ、生肉、生野菜ではO-157などの腸管出血性病原性大腸菌が原因で発症します。毒素型では黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌などがあります。
ウィルス性胃腸炎も細菌性胃腸炎も人から人にうつることで広がります。感染経路は主に2つ、飛沫感染と接触感染です。
主な症状
病原体により異なりますが、一般的な症状は急な下痢や嘔吐、腹痛、発熱、そして極度の倦怠感や食欲不振となります。その程度は様々ですが、感染型の腸炎の場合は、感染してから1~4日程度で発症し、稀に血便を伴うこともあります。毒素型の腸炎の特徴は、感染後数時間と発症が早い点です。発熱や下痢は症状に加えて、頭痛、視覚障害、嚥下障害などの神経的な症状を伴うこともあります(ボツリヌス菌感染の場合等)。
予防のポイント
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手洗いをこまめに行う(特に調理前・食事前)
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嘔吐物や下痢便の処理は使い捨て手袋と消毒を徹底
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加湿や室内換気で乾燥を防ぐ
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食事はよく加熱し、生ものは控えめに
受診の目安
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高齢者や小さなお子さん、持病のある方は重症化しやすいため早めの受診を
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嘔吐・下痢が長引く、脱水症状がある場合はすぐに相談を
治療方法
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水分・電解質補給
脱水予防には経口補水液(ORS)が効果的です。代表的な市販品には以下があります:-
OS-1(大塚製薬)
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アクアライト(日本光電など)
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ポカリスエット イオンウォーター(経口補水液タイプ)
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摂取の目安・タイミング:
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嘔吐や下痢の後に少量ずつ(50〜100ml)を数分おきに飲む
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一度に大量に飲むと嘔吐を誘発することがあるため注意
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大人は1日1〜2リットルを目安に、子どもは体重に応じて調整
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安静・栄養管理
食欲がある場合は消化の良いものを少量ずつ。症状が強い場合は無理に食べなくても自然回復が期待できます。 -
薬物療法
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整腸剤(プロバイオティクス含む)
下痢や腸内環境の乱れを整える目的で使用します。乳酸菌製剤などが代表例です。 -
吐き気止め(制吐薬)
嘔吐が強い場合に使用します。メトクロプラミドやドンペリドンなど、症状や年齢に応じて選択されます。 -
下痢止め(吸着・腸運動抑制薬)
症状が強く日常生活に支障がある場合に短期間のみ使用します。ただし、ウイルスを体外に排出する必要がある場合は安易に使用しません。 -
抗ウイルス薬(限定的)
現在、ノロウイルスには特効薬はなく、対症療法が中心です。ロタウイルスなど特定の感染症に対してはワクチン接種で予防が可能です。
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点滴治療
高齢者や小児、脱水が強い場合には点滴で水分・電解質を補います。当院では、症状に応じた薬物療法や点滴治療、経口補水液による自宅ケアの指導も行っています。気になる症状がある場合は、早めにご相談ください。
