ニキビ
ニキビの原因
ニキビは、皮脂が多く分泌される部位(おでこ、頬など)にできやすく、毛穴がホルモンと細菌と皮脂の相互作用によって炎症を起こす疾患です。アクネ桿菌(皮膚に存在する皮膚常在菌)という皮膚に常駐する細菌によっておこるとされています。
皮脂を分泌する毛穴が詰まりニキビができ始めます。その後、詰まった毛穴の中に乾いた皮脂や角質(死んだ細胞)がたまります。、この状態が黒ニキビ(毛穴が開いて中身が見えている状態)まや白ニキビ(毛穴が閉じている状態)と呼ばれる状態です。
放置しておくと進行し毛穴が破れ中身が流れ出し、炎症が広がる場合があります。その場合は皮膚の深い部分を傷つけてしまうため炎症が治っても毛穴の周りの組織がダメージを受けてしまいニキビ痕として残ることがあります。特に凸凹の痕が残ってしまうと、肌を元に戻すのは難しくなるため早めの治療をすることが大切です。
主要なニキビ治療法について
ニキビの治療は、外用治療(クリーム等の塗り薬)として、
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「ピーリング作用」
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「抗菌・抗炎症作用を持つアゼライン酸」
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「抗生物質(炎症や膿を伴う時に使用)」
の3つに加えて、飲み薬(内服薬)、美容皮膚科・美容外科で行う施術など、さまざまな方法があります。以下に代表的な治療法を詳しくご紹介します。
ピーリング成分を含む外用薬
ベピオ、アダパレン、デュアック、エピデュオ等
角質をやさしく剝がし(ピーリング作用)、表皮のターンオーバーを促進することで、新しい皮膚に生まれ変わらせる治療となります。毛穴の詰まりを解消する成分や殺菌成分を含むものもあります。新しいニキビをできにくくするだけでなく、ニキビ跡にも効果があるため、ニキビ治療の基本となる薬です。
使用上の注意としては、刺激があるため、使い始めは2日に1回・少量からスタートし、肌が慣れてきたら毎日使用へ移行します。また、脱色作用があり、髪の毛・眉毛・衣類につかないようご注意ください。
アゼライン酸クリーム(2025.9.20追記。AZAクリアを当院で導入)
アゼライン酸は天然由来の成分で、毛穴の詰まりを解消しつつ、抗菌・抗炎症作用を持ちます。欧米ではニキビ治療の基本薬のひとつとして広く使われています。皮膚のターンオーバーを促進する効果があり、赤みや色素沈着タイプのニキビ跡の改善にも期待できます。使用時の注意点として、刺激感や乾燥を感じることがありますが、ベピオやアダパレンと比べると刺激は弱めで、敏感肌の方や妊娠中の方でも使用できる点が特徴です。
抗生物質を含む外用薬・内服薬
外用薬:クリンダマイシンゲル、アクアチム、ゼビアックス等
内服薬:ビブラマイシン等
抗生物質を含む外用薬は、赤く腫れたニキビ、痛みを伴うニキビ、膿をもったニキビに有効です。
内服薬のビブラマイシンは効果の高い薬ですが、注意点として、長期使用で耐性菌が生じ、効果が弱まることがあります。また、副作用として吐き気が出る場合があります。妊娠中・授乳中は使用できません。
その他の治療法
低用量ピル(マーベロン、ファボワール)、漢方薬(十味敗毒湯)、ステロイド注射(ケナコルト)、イソトレチノイン等
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低用量ピル:ホルモンバランスを整えることでニキビを改善します。
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漢方薬:体質改善を目指し、炎症や肌トラブルを和らげます。
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ケナコルト注射:大きく腫れたニキビに直接注射して炎症を抑えます。
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イソトレチノイン:重症ニキビに用いる最も効果の高い薬ですが、副作用が多く、日本国内での製造はなく高価なため、十分な説明の上で希望される方に取り寄せ対応します。
美容外科施術(当院では実施していません)
ダーマペン、マッサージピーリング、レーザー・光治療等はニキビ跡の措置等を目的にしたもので美容外科で行う施術となります。当院では実施しておりません。
<ニキビ治療外用薬の例と塗る順番>
洗顔→化粧水/保湿→ピーリング剤→抗生物質
ケナコルト注射について
ニキビ治療の中心は、上記に記載しました通り、ピーリング成分を含む外用薬や抗生物質による治療やそのほか、十味敗毒湯などの漢方薬、低用量ピルによるホルモン治療、ビタミン剤による免疫力向上、ダーマペンや光治療などの美容皮膚科領域の施術もあります。
さらに選択肢として挙げられるのがケナコルト注射(ステロイド注射)です。残念ながら、2025年8月現在、製造メーカーによる出荷調整が続いており、当院でも入手が難しい状況です。卸業者と連絡を取り、入荷を試みておりますが、出荷時期が未定であることから、当院では以下の代替案をご案内しております。
ステロイドの内服
古くからニキビ治療に使われており、大きな赤ニキビに対して1週間前後内服すると、赤みの改善が期待できます。ただし、白ニキビや黒ニキビには効果がないどころか、悪化させる可能性があります。
デキサート注射
ステロイドにはさまざまな種類があります。ケナコルトの有効成分はトリアムシノロンアセトニドで、効果は中程度ながら約1か月持続します。ただし、効果が現れるまでに時間がかかります。一方、デキサートの有効成分はデキサメタゾンで、ケナコルトよりも強力かつ即効性がありますが、効果は1週間弱です。当院ではケナコルトの流通が安定するまで、このデキサート注射を代替としてご提案します。
ステロイド注射の副作用と注意点
ステロイド注射を繰り返すことは、ニキビ治療としては健康的な方法とはいえません。塗り薬・飲み薬には多くの選択肢と十分なエビデンスがありますが、ステロイド注射には以下のような副作用があります。
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注射部位の副作用:皮膚の萎縮、陥凹、色素脱失
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全身性の副作用:糖尿病、感染リスク増加、骨粗鬆症、精神症状、高血圧、体重増加、月経不順
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依存性:一部の患者さんでは、ケナコルト注射に依存する傾向が見られます
そのため、当院から積極的にステロイド注射を推奨することはありません。ただし、他院で継続的に治療を受けており、副作用がコントロールされていて、保険適応の条件を満たす場合には、上記選択肢の中からご提供可能です。
補足:花粉症治療でのケナコルト注射について
花粉症治療の一環としてケナコルト注射を行っているクリニックもありますが、これはおすすめできない治療です。アレルギー学会や耳鼻咽喉科学会でも非推奨とされ、社会問題化している行為です。高額な自費診療として提供されている例もありますが、医学的な観点からは避けるべきです。当院では、これからも医学的に正しい、安全で根拠のある治療を提供してまいります。
